増加するエコノミークラス症候群 疑い例の女性「怖かった」 熊本

エコノミークラス症候群の疑いと診断された後、テントに移り避難生活を送る渡辺和子さん(村本聡撮影)
エコノミークラス症候群の疑いと診断された後、テントに移り避難生活を送る渡辺和子さん(村本聡撮影)

 熊本地震では、エコノミークラス症候群が大きな問題となっている。熊本県益城町の同町総合体育館駐車場で10日間ほど車中泊を続け、エコノミークラス症候群の疑いがあると診断された渡辺和子さん(64)は、産経新聞の取材に「怖かった。いつまで避難生活が続くのか分からない」と不安を語った。

 「エコノミークラス症候群の疑いがあります。紹介状を書くので、すぐに病院に行ってください」

 渡辺さんは4月18日、足のむくみがひどくなった。体育館内の赤十字ボランティアに勧められ、熊本大付属病院を受診した。

 やはり疑いありと診断され、薬を処方された。

 最初の地震が発生した14日以降、渡辺さんは7人乗りワゴン車に避難を続けた。埼玉県から駆けつけた息子と2人で、ワゴン車2列目の席を倒して横になる。それでも足先までは伸ばせない。

 エコノミークラス症候群は、一定の姿勢を続けることで静脈に血栓ができ、これが肺などの血管に流れて詰まる病気だ。最悪、死に至る。予防には、運動と水分をしっかり取ることが重要となる。

 渡辺さんは医師から、「足の運動を心がけてください」とアドバイスも受けた。だが、足が不自由なため実践は難しい。また、同体育館周辺のトイレ不足も深刻だ。水分摂取が重要と理解しながら、自然と水分を取らなくなった。

 23日未明。息切れと動悸(どうき)が収まらず、救急車を呼んだ。エコノミークラス症候群とは直接関係なかったが、焦りと疲れが募った。

 同体育館の敷地には、登山家の野口健さんの呼びかけでテント村が設置された。渡辺さんはテントの中で、ようやく足を伸ばして眠ることができるようになった。それでも避難生活は不自由だ。

 自宅に大きな損傷はない。だが、余震が収まらない状況では、屋内で寝るのが怖い。

 「足のむくみがとれないし…。夜になると、病気のことや、これからの生活の不安が頭をよぎり、眠れない」

 午後9時には寝付くが、夜中の1時ごろに目が覚め、明け方までまどろむ日々が続くという。(鳥越瑞絵)

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