加藤達也の虎穴に入らずんば

元朝日新聞主筆の故若宮啓文氏に聞きたかった…同胞記者の裁判に利用されたことに悔いはありませんか?

 元朝日新聞社主筆の若宮啓文(よしぶみ)氏が亡くなった。まずはご冥福を祈りたい。朝日新聞によると、若宮氏は日中韓3カ国のシンポジウム出席のためソウル市から北京市入りし、宿泊先の北京市内のホテル客室で亡くなっているのが4月28日午後に見つかったという。前日から体調不良を訴えていたとも伝えられるが、68歳は早すぎる。

 訃報に接し、記者は残念な思いでいっぱいだ。健在なうちにぜひ、本人に問うておきたいことがあったからだ。

 若宮氏の姿は3月4日夕、「BSフジLIVEプライムニュース」が主催したホテルオークラのパーティー会場にあった。

 番組出演経験者ら政財界など多数の招待者でごった返す宴会場を若宮氏は1人で歩き回っていた。

 誰かにあいさつをするでもなく声をかけられるでもなく、視線を泳がせながら所在なげにしている若宮氏を記者は見つけた。話しかけようと思ったそのとき、場内に安倍晋三首相の到着が告げられた。

 警護員や秘書官にかき分けられ、若宮氏と記者は安倍首相の動線の両岸に引き離されてしまった。人垣越しに黙礼を送った記者に気づかなかったのか若宮氏は遠ざかり、記者はその寂しげな背中を見失った。

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