薬価危機-迫られる選択(1)

「1剤が国を滅ぼす」高額がん治療薬の衝撃 年齢制限求む医師に「政権がもたない」

 正常な免疫は、がん細胞を異物と認識して攻撃する。そのため、がん細胞は免疫に攻撃されるのを防ごうと、免疫にブレーキをかけて戦えないようにしてしまう。オプジーボは、がん細胞が免疫にブレーキをかけるのを阻止して、がん細胞への攻撃に再びアクセルを踏む。「免疫チェックポイント阻害薬」と呼ばれ、手術、放射線、化学療法に次ぐ「第4の治療法」として期待される。

 ところが、第4の治療法は患者を選ぶ。オプジーボを使えるのは手術による治療が難しく、他の化学療法で効果が出なかった患者や手術後に再発した患者だ。自身の免疫を利用するため、体力が落ちていては使えない。免疫細胞が正常細胞を攻撃してしまう自己免疫疾患などの重い副作用が出ることもある。

 臨床試験では投与を受けた患者の約2割に有効とされたが、どの患者に効果があるかを事前に見極めることはできない。また、投与後の効果を早い段階で判断するのが難しい。

 大江氏は「腫瘍の増大が止まったり縮小したりすれば効果が出たと分かるが、免疫に働きかける薬は、効果が表れる前に腫瘍が大きくなることがまれにあるといわれている」と説明する。投与後にがんが大きくなったとしても、効果がないのか、効果があることによる反応なのかを判断するのが難しいという。