複眼ジャーナル@NYC

「嫌われるウォール街」という社会現象

 毎年4月のマンハッタンは、トライベッカ映画祭で街中がにぎやかになる。先週末までは映画館周辺が人波でごった返し、俳優が赤じゅうたんを闊歩(かっぽ)していた。

 観客動員数は10万人単位という。2001年に起きた米中枢同時テロからの復興を願って始まったのが映画祭の生い立ちで、今や米国を代表する催事に成長した。実録から恐怖映画まで、出展される最新作は時流を反映している。

 今年は「エクイティ」なるサスペンスが人気を博していた。私生活を犠牲にしてまでウォール街でのし上がろうとする女性銀行家が主人公である。

 「エクイティ」はラテン語が語源で、金融だと「株式」、法曹界では「公平」という意味で使う。勝手流に訳するなら、「公平な分け前」が邦題となる。

 映画は、男性社会であるウォール街の出世競争に翻弄され、頑張っても「公平な分け前」にあやかれない現代女性の悲哀を女性の目から描写した。

 主役に加えて、助演した銀行家の部下と勤務先の投資銀行を追い詰めようとする検察官も女性。「撮影担当から脚本家まで、映画に携わった全員が女性」(上映会に登場した監督のミーラ・メノンさん)というから徹底している。