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「震災非常時は視聴率休止」提言の真意-給油割り込みから透けて見えるメディアの報道姿勢

避難所でエコノミークラス症候群の注意喚起をする各県薬剤師会の有志ら=20日、熊本県益城町総合運動公園体育館(寺口純平撮影)
避難所でエコノミークラス症候群の注意喚起をする各県薬剤師会の有志ら=20日、熊本県益城町総合運動公園体育館(寺口純平撮影)

 熊本地震から10日あまり。被災地の皆さんはいまだ不安な日々を過ごされていることと思います。謹んでお見舞いを申し上げます。テレビ各局も各地から応援部隊を投入した震災報道態勢にシフトしました。今回はそうした震災をめぐる報道について触れたいと思います。(豊田昌継)

抜いた、抜かれた…「視聴率」が報道合戦を過熱させる

 発生から数日後、小欄でもおなじみ同志社女子大学・影山貴彦教授(メディアエンターテインメント論、元民放プロデューサー)が、テレビ報道に関し〈緊急事態の今だけは「視聴率調査」を休止すべき〉という提言をSNS、ネット上で公開しました。

 〈視聴率調査を休止させることで、各局は冷静な取材ができる。他局同士が系列を越えて協力し合い行動できる。過熱報道合戦に違和感を持つ人が、とても多い。横並びの局で「飛び切りの映像で抜いた、抜かれた」と騒ぐのは「内輪」だけ。取材現場の記者の苦労は十分わかっているつもりだが、視聴者が報道機関に求めているのは、もっと別のことだ〉

 要約すると、こんな感じでしょうか。ぜひ検索して全文をお読み下さい。ちょうどその時、僕は震災特番と通常番組との視聴率動向を見比べていたところ。提言内容には賛同しつつも、「休止はちょっと大げさではないですか(笑)」と軽い気持ちで教授にメールを送りました。

現実味を帯びてきた提言

 ところが、このやり取りの数時間後でした。関西テレビ(大阪市)の中継車による給油横入りが明るみに出ました。熊本県菊陽町のガソリンスタンドで車列に割り込み、先に給油を行ったというのです。その瞬間、皆さんと同じような怒りとともに、メディア人として情けなさや歯がゆさなど、さまざまな感情がわき起こりました。

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