2013年に両国が合意した計画は、現行鉄道で6時間以上かかる総延長約350キロを90分で結ぶ。マレーシア側の建設費試算は150億ドル(約1兆6千億円)で、22年以降の開通を目指す。路線の大半が自国内にあるマレーシアが決定権を握るとみられる。
そんな中、中国国有鉄道建設大手の中国中鉄は先月21日、高速鉄道の発着駅が建設されるクアラルンプール中心部の都市開発事業地に、アジア全域での鉄道インフラ事業の計画・立案を行う拠点を20億ドルを投じて立ち上げると発表。駅建設事業の受注に向け、早くも動きを具体化させた。
中国側は、マレーシアの国内政治も念頭に置いているようだ。この都市開発事業は、多額の債務やナジブ首相の資金流用疑惑が問題化される政府系投資開発会社の案件。ナジブ氏は他の問題でも中国から資金支援で難局を乗り切りつつあるとされ、「高速鉄道入札で中国に有利な判断を下す」(地元メディア)とささやかれている。