総合商社が大きな逆風に見舞われている。資源価格の下落による減損損失を主因として、三菱商事と三井物産は2016年3月期に初の連結赤字へ転落する。同様の減損損失が他の商社でも収益に大きなインパクトを与えている。そろって国際会計基準(IFRS)を導入しており、資源価格の変動に対する業績の感応度が高くなっているためだ。
◇
とはいえ、下位商社の再編が進んだ2000年前後のような危機ではない。当時は連結会計と時価会計が大きな打撃となったが、この十数年で、総合商社各社の自己資本は格段に厚みを増した。2000年3月期、財務基盤が強い三菱商事でさえ自己資本比率は11.6%、業界5位の丸紅では5.8%でしかなかった。それが15年12月末にはそれぞれ32.8%、19.6%になっている。
1990年代末から2000年代初めの「商社冬の時代」には、複数の総合商社が事業再編に追い込まれた。それまで商社は規模の大小を問わず似たような事業ポートフォリオを持っていた。それが97年以降の国内外での金融危機の過程で、企業体力に劣る順にメインバンクによって大規模なリストラ、さらには他社との統合を迫られた。