秘録金正日(73)

後見人、張成沢処刑の真相 正恩「地球上から痕跡なくせ」 最期に「わずかな時間でいい。妻に会わせて…」

 「1号同志とは誰のことだ」と言い返すと、「張部長同志だ。あの方の指示がないとダメだ」と突っぱねたという。

 「1号」は、北朝鮮で最高指導者を指す。正恩ではない人物を「絶対者」と仰ぐ勢力が形成されていた事実を如実に示した。党員が命を賭して守るべき「党の唯一領導体系確立の10大原則」に対する明白な違反でもあった。

 10大原則は、この時期、党組織指導部によって改訂され、個別幹部の偶像化や分派活動の排除をうたった条文が付け加わった。

 党の中核を占める組織指導部の幹部らは、もともと同部の一部署にすぎなかった行政部が、最高指導者の叔父という虎の威を借り、専横する様子を苦々しくながめていた。10大原則の改訂は、張一派を追い落とすために彼らが仕掛けたわなともいえた。

 正恩の特別指示で、9月には組織指導部が主導し、秘密警察の国家安全保衛部や護衛司令部、検察から人選した「常務グルパ(チーム)」が立ち上げられ、成沢への検閲が開始された。

機関銃弾乱射で失神

 組織指導部は、張成沢の右腕とされる行政部第1副部長の李竜河(リョンハ)と副部長の張秀吉(スギル)に対する調査を3月から水面下で進め、党紀違反に問える材料をつかんでいた。11月に逮捕された2人は、拷問に耐えられずに「張成沢の罪状」を自白し、処刑された。

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