浪速風

デザインより王さんの信頼感

江戸時代後期、「天保の改革」を行った老中水野忠邦は倹約令を発し、庶民に贅沢(ぜいたく)な絹の着物を着ることを禁じた。色も藍色と決められた。おしゃれにうるさい江戸っ子は「てやんでえ!」と反発した。絹がだめなら木綿に染めてやると染色職人が新たな技法をあみ出し、藍染めの浴衣が人気を集めた。

▶最終候補に残った4案から選ばれた2020年東京五輪・パラリンピックの公式エンブレムは、カラフルな他の3案と比べて、藍色一色が特徴的である。「組市松紋」は江戸切子ガラスを思わせ、江戸の粋を凝縮したように見える。猛暑が予想される真夏の五輪に、さわやかな藍色が涼を感じさせてくれるだろう。

▶やり直し選考には、1万4599点の応募があり、延べ4万人超、約10万7千件の意見が寄せられたという。最終候補が事前に公表されたことで、もう盗用などのクレームはつかないはずだ。なにより選考委員に王貞治さんが加わると、ぐっと信頼感が増す。