巨大カルデラ噴火では、体積数十立方キロ以上という途方もないマグマ溜まりが噴出する。9万年前の阿蘇山カルデラ噴火の場合は、なんと1千立方キロものマグマが一気に噴き出したのである。
今回の一連の地震の震源が約10キロであることを考慮すると、このような巨大マグマ溜まりが存在すれば、周囲の岩盤に亀裂が入る可能性がある。その場合には、サイダーの蓋を勢いよく開けたときと同様にマグマがあふれ出す。つまり、巨大カルデラ噴火が始まることも考えられる。
ただ、現時点ではこのような巨大なマグマ溜まりが阿蘇山の下にあるのかどうかは分かっていない。残念ながら現在の観測態勢では検知不能であり、科学技術立国としても誠に情けない限りである。
試練と覚悟
わが国は地球上でも有数の地震大国・火山大国である。私たちは変動帯から多くの「試練」を与えられる一方、温泉や鉱床といった変動帯ならではの恩恵も享受してきた。試練による被害を最小限に抑える必要はあるが、だからといって国や行政に任せっきりにしてはいけない。