政府・与党は、5月に安倍首相が議長として主催する主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)や、それに合わせてオバマ米大統領が被爆地の広島を訪れる見通しになったことは、政権浮揚の一助とはなるとみているものの、それほど大きな効果は期待していない。
平成28年度補正予算案の早期提出など、打てる手はすべて打つにしろ、楽観できる情勢にはない。このままでは、自民党の党是であり、安倍政権の一大目標である憲法改正に向け、是が非でも勝ちたい「正念場」である参院選への不安が払拭できないことになる。
北海道5区補選は安倍首相にとって、野党共闘の限界を露呈させることに成功した点で、参院選での野党の連携にくさびを打つという意義はあった。
だが、同時に無党派層による「風」は容易には得られず、むしろ対処を誤ると「逆風」が吹きかねない厳しい現実も見せつけた選挙だった。
(阿比留瑠比)