--アメリカとキューバが国交を回復した背景にムヒカさんのご尽力があったと聞いている。どうして両国の間を取り持ったのか
「私は、オバマ大統領からラウル・カストロ評議会議長宛の小さなメッセージを伝えました。キューバの刑務所に収監されていたアメリカ国籍の囚人の健康状態を、オバマ大統領は非常に心配していると伝えました。当時すでに、秘密裏にではありますが、両国間の交渉は存在していました。交渉中にアメリカの囚人になにかが起こるのはよい状況ではないからです」
「私たちは常に平和を導くように、物事を解決しなくてはいけない。平和でなければ被害を受けるのは常に弱者だからです。いまだに人類は先史時代を生きていると思います。戦争を完全に放棄することができたら、人類はやっと先史時代から脱却できるのです」
--リーダーとして最も大切にしていることは?
「私たちは矛盾をはらむ時代に生きています。多くの富を抱え、科学は発展し、技術も進歩した。そんななかで、私たちが考えなければならない大切な問題は、じゃあ私たちは幸せに生きているのかと言うことです。ひとつの側面ではすばらしい効果がもたらされました。たとえば150年前に比べて私たちの寿命は40年長くなっています。でもその一方で私たちは軍事費を毎分200万ドルも使っています。人類が持つ富の半分は、80人から100人の人が握っている。そういう時代です。つまり、私たちはみんなが生きられるためのリソースは持っている。でも、富の不均衡、あるいは格差をつくった社会的ルールに支配されています。若い人たちには私たちのこうした愚かな間違いを繰り返さないでほしいと思います」