東日本大震災で大きな津波被害を受けた宮城県東松島市。積水ハウスが設計・施工を手がけた災害公営住宅で、本格的なエコエネルギーの地産地消に向けた取り組みが5月から始まる。団地内に設置された太陽光パネルで発電した電力を、自営線を使って近隣の病院などへも供給する「スマート防災エコタウン」の誕生だ。震災以降、街全体の電力利用をIT技術で効率化する「スマートシティ」が全国的に増えているが、街区を越えた電力融通に踏み切る例は初めてという。
地産地消の先駆モデルに
「電力などのエネルギーを購入するということは、『地域の富の流出』ともいえる」
こう指摘するのは、積水ハウスで環境推進部長と温暖化防止研究所長を兼務する石田建一常務。同公営住宅の取り組みを通じて、「電力の地産地消によって地元にお金が回り、経済の活性化に役立つ『東松島モデル』を進めたい」と語る。
今回、全国でも初めての試みが始まるのは市営柳の目東住宅。水田を造成した約4ヘクタールの敷地に戸建て住宅70戸、集合住宅15戸が並ぶ。計画人口は247人で、昨年8月に入居が始まった。