原発最新事情

熊本地震で大いに株を下げた原子力規制委 一般向け情報発信ゼロが首相官邸の逆鱗に触れ 背景には広報体制の軽視が…

 甚大な被害をもたらした熊本地震で、原子力規制委員会が株を下げた。震源の周辺には、稼働中の九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)など4カ所の原発があり、安全性には何ら問題がなかったにもかかわらずだ。規制委は情報発信に失敗し地元住民の不安を解消できなかったばかりか、官邸から「情報発信を改善するように」と叱られる始末。国民のニーズをどうくみ取るか。とかく「独善」と批判されがちな規制委は、突如襲った試練にうまく対応できなかった。(原子力取材班)

「率直に反省しなくては」

 「国民の皆さんがいろいろ心配している。情報発信が十分でないと叱られているが、率直に反省しなければならない」

 規制委の田中俊一委員長は4月18日の臨時会合で、規制委側の非を認める殊勝な姿勢を見せた。続いて原子力規制庁の清水康弘長官も「今回の対応については反省すべき点が多かった」と強調した。

 取材班は会合後の記者会見で、なぜ国民のニーズをくみ取ることに失敗したのか、と尋ねた。

 「原子力施設の状況についての報道は産経新聞も出されていたと思う。だから、そこが非常に難しいところで、ただ何もなくても規制委としての考えを出すべきだという意味では、少し不足していたことは否めない」。田中委員長はこう認めざるをえなかった。

 会見ではフリーのジャーナリストが反原発の立場から、次々と質問を投げかけた。「国民の最大の疑問は(川内原発を)なぜ止めることで予防しないのかということだ」「山火事がすぐそばまで迫っているのに花火大会をやっているのか」「規制委のあり方を改めるべきではないか」

 中には「仲間にも呼びかけて、止めてほしいという声を(規制委に)届ける!」と、ジャーナリズムの範疇からはみ出し、政治活動家のような発言をするフリー記者も現れた。

杓子定規な対応に官邸不満

 では規制委の情報発信とはどういうものだったか。