政府、諫早湾干拓事業訴訟で和解の方針を固める 開門せず漁業者に解決金で調整へ

長崎・諫早湾の干拓事業(本社ヘリから)
長崎・諫早湾の干拓事業(本社ヘリから)

 政府が国営諫早湾干拓事業(長崎県)の潮受け堤防排水門の開門をめぐる一連の訴訟について、和解する方針を固めたことが21日、分かった。政府は開門しないことを条件に来月以降、開門を求める漁業者らに解決金の支払いや漁場環境の改善策を提示する。今秋までの和解合意を目指し、地元住民の長年の対立に終止符を打ちたい考えだ。

 政府は漁業者の要望を聴取した上で、有明海再生事業など地域振興策を平成29年度予算案に盛り込むことも検討する。諫早干拓をめぐる訴訟は現在計6件あるが、政府、漁業者、営農者の3者が和解すれば、訴訟は全て取り下げられる。

 諫早湾干拓をめぐる訴訟は14年、有明海沿岸の漁業者らが堤防設置で漁業環境が悪化したとして堤防の開門を求めて佐賀地裁に提訴。政府に3年以内に5年間開門するよう命じた22年の福岡高裁判決が、政府の上告断念で確定した。

 これを受け、干拓地の営農者らは開門すれば農地への塩害など悪影響が出るとして23年に長崎地裁に開門差し止め訴訟を提起。長崎地裁は25年、開門差し止めを命じる仮処分を決定し、政府は相反する義務を負うことになった。

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