関西の議論

たった29人の訴えだけで…原発止めた司法に激怒、「立地県がもてあそばれている」と地元住民

 「しっかりとした基軸で判断をしてくれないと、地元は困惑するばかりだ」

 地裁決定を直接批判することこそしなかったが、再稼働直後に再び直面した司法の壁に、野瀬町長の表情は厳しさを崩さなかった。

「29人の訴えだけで止めるなんて」

 「まさかこんなことになるとはね。もうあかんわ」

 高浜町のある飲食店。経営する女性(60)は客足がまばらな店内に目をやった。原発稼働中は作業員らでにぎわうという店内は、ランチタイムのピークを過ぎてしまえば、客の姿はほとんどない。「4年近く止まっていた間は苦しかったけどなんとか耐えた。ようやく再稼働したところだったのに、またこんなことになってしまって」

 どこかあきらめたような表情の女性はこう続けた。「地元には1万人の人がいるし、関電の消費地にもたくさんの人がいる。それなのに29人の訴えだけで止めちゃうなんてね」

 今回の仮処分は、滋賀県民29人が関電を相手取って申し立て、大津地裁で審理された。町民の多くは、地元の意見を一切聞くことなく出された決定に、納得できずにいる。

 高浜町商工会の田中康隆会長(59)も、「この地域の原発が40年以上、関西に電気を供給し、発展を支えてきた。もちろん訴える権利はあるが、生産地のことも少しは考えてはどうか」と憤る。

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