熊本地震とオスプレイ 九州総局長が読む

「中国刺激」の懐疑的論調はいかがなものか 日米で被災者支援に活躍望む 佐賀県に配備されていれば違った展開も

 飛行時の安全性は、米ホワイトハウスの職員が利用し、首都ワシントンの低空を日常的に飛んでいることで実証済みだ。

 ワシントンに駐在していた2012年8月、森本敏防衛相(当時)と日本人記者団がオスプレイに試乗する機会があり、それを取材した。

 だが、機内に沖縄の地元紙、琉球新報の特派員の姿はなかった。試乗したらその安全性をレポートしなければならず、日ごろのネガティブキャンペーンと矛盾するからではなかったのか。

 オスプレイの専門家、リチャード・ウィトル氏はかつて、共に昼食をとりながら私にこう語った。

 「軍用機に100%の安全性を求める方がナンセンス。危険な航空機なら搭乗員は救命用パラシュートを付けるはずだ」

 大手紙や地元紙は安全性のほか、中国を刺激するという論調でオスプレイの存在そのものに懐疑的だ。有用な航空機を疫病神のように忌み嫌う向きは、熊本での献身的な彼らの救援活動を、どのような思いで見つめているのだろうか。

(九州総局長 佐々木類)

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