浪速風

被災地励ますあきらめない走り

君原健二さんが50年前の優勝者として招待されたボストン・マラソンで完走した。足を痛めていたが、4時間53分14秒は目標だった5時間を切った。とても75歳とは思えない快挙だ。北九州市在住で、日の丸を胸に着け、熊本地震の被災地に思いを寄せて走ったという。

▶銀メダルを獲得した1968年のメキシコ五輪を思い出す。空気の薄い高地でのマラソンで、首を振りながら苦しそうにゴールを目指す姿に日本中が感動した。3大会連続の五輪代表や、メダル以上に誇りにしていることがある。フルマラソン完走は74回目になり、これまで出場したレースで一度も途中棄権がない。

▶以前、公共広告機構の自殺防止キャンペーンのCMに登場した。「私は苦しくなると、よくやめたくなるんです。そんなとき、あの街角まで、あの電柱まで、あと100メートルだけ走ろう。そう自分に言い聞かせながら走るんです」。あきらめない心は、被災した人々に何よりの励ましだろう。