ビジネスの裏側

第2のエネルギー革命目指す「水素の岩谷」の野望、採算度外視でFCV普及に挑む

 エネルギー効率の高い家庭用の燃料電池「エネファーム」を使ったコージェネレーション(熱電併給)も導入が進むなど社会的な認知度が高まっている。

 政府は32年開催の東京五輪までに一定の整備を進め、国内外に水素社会への転換をアピールしたい考えだ。

 ■採算に合わなくても

 水素社会の実現に向け、岩谷産業は積極投資を続けている。一昨年夏には兵庫県尼崎市に国内初の水素ステーションを設けた。それ以降も整備を続け、すでに約20カ所で設置している。今後1年で30カ所にまで増やす方針だ。水素ステーションの建設費は1カ所4~5億円とガソリンスタンドの数倍になるが、岩谷産業の担当者は「今は採算は合わなくても、先行投資で水素社会に向けた取り組みを進めていく必要がある」と説明する。

 水素は、すでに産業用としてすでにさまざまな分野で使用されている。石油精製では原油中に含まれる硫黄分を取り除く脱硫用に使われ、石油化学製品を作る際には添加剤にも使用される。製鉄所では、ステンレスなど鋼製品の表面をピカピカにする処理で水素が使用されている。半導体製造時の材料ガスには、超高純度の水素ガスが利用されているほか、宇宙ロケットは水素を燃料にしている。

 国内の水素市場は今でこそ産業用を中心に数百億円規模だが、FCVや家庭用燃料電池、水素発電などを中心に成長が見込まれており、42年には1兆円、62年には8兆円になると見込んでいる。