弁護士局部切断・小番被告実刑判決

妻の嘘に躍らされ凶行におよんだが…実は夫をペット呼ばわり 小番被告「今も妻を愛している…」

「幼い頃に両親が別居し、寂しい思いをしてきた僕に、妻は家庭の温かさを教えてくれた。優しい性格が大好きだった。いまも心から愛している」-。妻の不倫でトラブルとなった弁護士の男性(42)の局部をはさみで切り落としたなどとして、傷害と銃刀法違反の罪に問われた元慶応大法科大学院生、小番(こつがい)一騎(いっき)被告(25)。4月14日に東京地裁で行われた被告人質問で、小番被告は反省と謝罪を述べた上、騒動のキーパーソンとなった妻への変わらぬ愛を語った。一方、法律知識を持つ被告ならではの減刑戦略かとも思われる発言に、検察官や裁判官から厳しい指摘が寄せられるシーンもあった。(小野田雄一)

小番被告の前回公判では、妻の「小番被告はペット感覚だった」「人生をリセットして、海外で美術の勉強をしたい」などとする供述調書が読み上げられており、それを受けた被告人質問には注目が集まった。

公判を詳述する前に、事件の経過を改めて整理する。

小番被告の妻(26)は小番被告と平成24年6月に結婚し、26年5月から東京都港区の弁護士事務所で男性の秘書として働き始めた。同年12月末、男性に口説かれた妻は不倫関係に。平成27年8月までに少なくとも6回の関係を持った。

しかし、妻は男性への好意が次第に冷め、小番被告に「職場の人間関係に悩んでいる。男性からキスされかけた」などと相談。小番被告が問い詰めると「2回だけ性的関係を持った」「拒んだけど、やめてくれなかった」などと嘘をついた。

小番被告は「男性が優越的な立場を悪用し、強制的に妻と関係を結んだ」と考え、昨年8月13日朝、弁護士事務所を訪問。男性の顔を殴った上、持っていたはさみで局部を切り落とし、重傷を負わせた-。事件の経緯はこの通りだ。

今年3月の公判では、妻の供述調書が朗読された。

それによると、妻は実家を出たいと思っており、「結婚すれば実家を出られる」「結婚なんて紙ッペラ1枚だ」との考えで小番被告と結婚した。しかし、学生だった小番被告を養う生活に疲れ、そんな際は「ペットのようなものだ」と考え、気を休ませていたという。

男性との関係については「初めて弁護士事務所でキスを求められた際、『関係を持つかも』と思ったが、拒むほど嫌ではなかったので受け入れ、その場で関係を持った」「給与や賞与のこともあり、拒んで職場で嫌がらせされるなどの不利益を受けるよりは関係を持った方がいいと考えた」と説明した。

また、当初は男性に好意があったが、あだ名で呼ばれ、高価なネックレスを渡され、長文メールが頻繁に届くようになると「気持ちが悪くなり、本気で引いた」。そんな中、小番被告から「帰宅が遅い」と叱られ、けんかになった際に、仲直りの方便として「キスされかけて悩んでいた」「2回だけ、拒んだけど関係を持たされた」と嘘をついたという。

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