憲法・民法との間に生じる齟齬
昨年4月、東京都渋谷区が同性カップルを「結婚に相当する関係」と扱う「同性パートナーシップ条例」を施行した。9月には世田谷区が条例によらない「同性パートナーシップ宣誓」の要綱を発表した。今年4月1日には三重県伊賀市が同性カップルの公的証明書発行を始めた。渋谷区で申請のあったカップルは3月末現在で8組にとどまっている。
同性愛者は存在するし、彼らが生きやすい社会をつくることに異論はない。しかし、渋谷区の条例は、異性愛、同性愛、両性愛、無性愛を「性的指向」の価値として平等とし、学校教育や生涯学習で理解を深めたり、区民や事業者に同性愛者など性的少数者に対する「一切の差別」を禁止するなど、思想信条や表現、経済活動の各自由を制約する惧(おそ)れがある。とりわけ結婚(婚姻)を男女の関係に限っている憲法や民法などとの間に齟齬(そご)を生じさせている。