自らが登用し、7年間コンビニ業界首位としてセブン-イレブンの拡大路線を支えた井阪氏を鈴木氏はこう酷評した。
ただ、鈴木氏の会見での説明と、翌8日未明に井阪氏が東京都内で記者団の取材に応じた際の説明とは食い違いがあった。
鈴木氏は、井阪氏に社長交代を内示をした際に井阪氏がいったんは了承したが翻意し、「(自分の功績のように)今まで1人でやってきた」と7日の取締役会などでたびたび主張したと強調した。これに対して、井阪氏は「流通業は1人ではできない。そんなことは言っていない」と明確に否定。セブン-イレブン社長の続投にも意欲を示しており、退任を了承した事実は全くないとしている。
どちらが本当のことを言っているのかは藪の中だが、コンビニエンスストアを日本に定着させた大流通企業として、お粗末な印象を残したのは否めない。
コンビニを日本に根付かせた名経営者
会見の舞台裏を本格的にひもとく前に、鈴木氏の功績や歩みをここで振り返っておこう。
鈴木氏は東京出版販売(現トーハン)を経て、30歳のときに現在のイトーヨーカ堂に入社。創業者で現在は名誉会長の伊藤雅俊氏の懐刀として、販売促進や人事、広報などの管理部門を中心に力を発揮した。