京都市下京区にある平安京の遺構・皇嘉門(こうかもん)大路跡の脇から、大量の瓦片が2列に並んだ状態で出土したことが17日、分かった。京都市埋蔵文化財研究所は、9世紀に築かれた築地塀の瓦と分析。南海トラフを震源として仁和(にんな)3(887)年に起きた仁和地震などによって倒壊した痕跡とみて詳しく調べている。地震が原因で倒れたことが明確に分かる平安京の遺構は珍しいという。倒壊した建物のがれきごと盛り土をするなどしたため、保存状態が良かったとみられる。
調査は京都市中央卸売市場の整備に伴い、平安京の右京七条一坊七町跡の約900平方メートルで実施。皇嘉門大路の側溝脇から築地塀を想定させる盛り土(幅約3メートル)が出土し、その両端から瓦片の列が20メートル以上にわたり見つかった。瓦は平安京遷都から間もない9世紀に生産されたとみられる。
また側溝に堆積していた土から地震の痕跡を確認。山崎断層を震源地に貞観10(868)年に起きた播磨国地震や、仁和地震だった可能性があるという。平安京は播磨国地震で震度4、仁和地震では震度5強だったと推定されている。京都産業大の鈴木久男教授(歴史考古学)は「当時の平安京の被災状況が分かる貴重な資料になる」と話している。