▼避難所で過ごす方々は自宅のようすが気がかりだろう。都心で見守る身はしかし、浅慮に走ることなく、次の揺れから身を守るように願うほかない。「生きていれば何とかなる。死なないことだ」。東日本大震災の被災地で聞いた元防災担当者の叫びを記しておく。
▼救出と復旧の続く現地では、空模様の崩れも怖い。ツイッター上では聞くに堪えぬデマが飛び交い、被災者の感情を逆なでする。わが国はこの四半世紀で阪神、新潟県中越、東日本という3度の大震災を経験した。その度にわれわれが積み上げたはずの「優しさ」は何だったのか。心ない仕打ちが恥ずかしくもあり、悲しくもある。
▼地震列島にたつ日本という城の、誰もが領民であろう。せめて「裏の栗」を胸に、心を寄せられないか。