署名活動、憲法改正の基礎票に 九州の旗振り役、加地邦雄・福岡県議「後世に誇り伝える」 福岡

憲法改正の必要性を訴える加地邦雄氏
憲法改正の必要性を訴える加地邦雄氏

 間もなく憲法記念日(5月3日)がやって来る。安倍晋三首相が在任中の憲法改正に意欲を示すなど、激変する国際環境の中で改正への機運が盛り上がり、署名運動が活発となっている。福岡県内では目標の31万を上回る約32万人分の署名がすでに集まった。日本会議九州地方議員連盟の会長で、福岡県議の加地邦雄氏(65)は「国民すべてが参加し、今の時代に見合った憲法が必要」と訴えた。(九州総局 村上智博)

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 今の憲法の草案は、連合国軍総司令部(GHQ)の占領下、わずか1週間ほどで完成した。確かに、戦後日本は米国に支えてもらった。それは感謝すべきことですが、そろそろ自立し、自分たちで国のかたちを決めなければなりません。

 私は大学2年生の時、作家の三島由紀夫先生が結成した民間防衛組織「楯の会」に加わりました。会の5期生で、陸上自衛隊富士駐屯地(静岡)で訓練を体験したこともあります。

 こうした活動を通じて、日本がいかに平和ボケしているかに気づきました。憲法9条をみると、敵国からすれば何と戦いやすい憲法か。この憲法を「後生、大事に持っていくべきものなのだろうか」と疑問を抱きました。

 今の憲法は、日本人が日本人としての誇りを持てるようになっていません。

 三島先生は昭和45年11月25日、陸上自衛隊市ケ谷駐屯地(東京)で「われわれの愛する歴史と伝統の国、日本を骨抜きにしてしまった憲法に体をぶつけて死ぬ奴はいないのか」と最期に叫び、自決されました。

 その死は、私にとって十字架を背負わされているようなものです。憲法改正を成し遂げなければならないのです。

 今、憲法改正に向け、本格的に動いています。

 「美しい日本の憲法をつくる国民の会」の地方組織として、昨年11月、福岡県民の会(共同代表=松尾新吾九州電力相談役、蔵内勇夫自民党県連会長)が発足しました。5月3日の憲法記念日に、ソラリア西鉄ホテル(福岡市中央区)で第1回総会を開きます。

 国民の会は、憲法改正実現に向け、1千万人を目標に署名活動をしています。福岡県では31万人が目標でしたが、みなさんの協力もあり、4月初めまでに署名は32万6200人を数え、目標を上回りました。

 九州では他に、熊本県が14万人で目標の12万人をクリアするなど、順調に伸ばしています。全国では憲法記念日までに700万人、年内に1千万人を突破させたいですね。

 この署名は、憲法改正への「基礎票」といえます。

 憲法改正は、国会の両院の総議員の3分の2以上の賛成によって発議され、国民投票にかけられます。ここでは過半数の承認を得なければなりません。投票率を考えれば、3千万人分の賛成票が必要でしょう。その基礎票が1千万人の署名なのです。

 今、ようやくこの国も、国民運動を通じ、憲法改正や国柄について、真正面から論じられるようになってきました。

 三島先生も、自分の遺志を継ぐ人がいると、喜んでいただけると思います。

 憲法改正をめぐっては、9条から正面突破を図るべきだとの意見もあります。でも、その前に、憲法論議から逃げている野党を、議論の場に引きずり出さなければなりません。

 私はまず、大規模災害などの緊急時に、政府に大きな権限を与える非常事態宣言の条項を憲法に盛り込むべきだと考えます。千里の道も一歩からです。

 その後、戦力の不保持をうたう9条2項の改正に踏み切るべきです。きちんと戦力を持つことが、敵対国への抑止につながり、わが国が2度と戦争をしないためにも必要なことなのです。

 憲法9条が、国を守る自衛隊の任務をいかに制限しているのか-。その実態を知ってもらわなくてはなりません。福岡県民の会として、こうした周知活動を充実させます。

 今こそ憲法改正を成し遂げ、「自分たちの手でこの憲法を作ったんだ」と、後世に胸を張り、誇りを持って伝えられるようにしなければならない。そう切に思います。

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【プロフィル】加地邦雄

 かぢ・くにお 昭和25年6月24日、福岡県稲築町(現・嘉麻市)生まれ。県立稲築志耕館高、大東文化大卒。福岡青年会議所副理事長などを経て、平成11年、福岡県議(自民党)に初当選し、現在5期目。26年5月~27年4月、県議会議長。福岡県台湾友好議員連盟会長なども務める。

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