宮家邦彦のWorld Watch

朝日の「反権力」論に違和感 パナマ文書を暴いたICIJから見えるジャーナリズムの本質

 報じられただけでも、習近平国家主席の姉の夫、劉雲山政治局常務委員の嫁、張高麗常務委員の娘婿、李鵬元国務院総理の娘、曽慶紅元国家副主席の弟、賈慶林元常務委員の孫娘、薄煕来元政治局委員の妻、胡耀邦元総書記の三男など枚挙にいとまがない。さらに驚くのは、このパナマ文書に関する国内報道が皆無であるばかりか、それを報じるNHK、CNN放送までもが見事に遮断された。これだけ消したいということはよほど都合が悪いのだろうか。こうした報道管制が続く限り、中国で真のジャーナリズムを育てるのは至難の業である。

 調査報道を基本に事実を伝えようとするジャーナリズムと、公正中立ではなく反権力を信条とするジャーナリズムに、大本営発表しか報道できない中で苦しむジャーナリズム。欧米と日中の溝は予想以上に深い。パナマ文書スキャンダルで逃げ遅れる人は不幸かもしれないが、真のジャーナリズムを持てない国の市民はさらに不幸である。