宮家邦彦のWorld Watch

朝日の「反権力」論に違和感 パナマ文書を暴いたICIJから見えるジャーナリズムの本質

 4月最初の週末、パナマで巨大爆弾が炸裂(さくれつ)した。タックスヘイブン(租税回避地)で有名な同国の大手法律事務所から膨大な顧客情報が漏洩(ろうえい)したのだ。流出した資料は1100万件以上で、数十万人分、過去40年分もあるという。この種の取引自体は合法だが、資金洗浄、汚職、脱税など犯罪が絡めば、当然各国の司法当局は動き出す。犠牲者の大半は世界の大富豪と犯罪人だろうが、所詮筆者には縁のない話。今の関心は、今後誰が逮捕されるかよりも、誰がこの事件を本格的に報じたかにある。

 その団体は米国ワシントンに本部を置くICIJ(国際調査報道ジャーナリスト連合)、膨大な情報を匿名で入手し、80カ国の100以上の報道機関のジャーナリスト400人余とともに1年間資料を分析したという。さすがはICIJだ、名称に「調査報道」を掲げたのもだてではない。今回はこのパナマ文書事件でジャーナリズムの本質を改めて深く考えさせられた。