話の肖像画

下町ボブスレー推進委員会・細貝淳一(3)若い世代に時代のバトン渡したい

 〈そんな生活が1年続いた後、思わぬ出会いをきっかけに会社が軌道に乗り始める〉

 1年間やるとね、少し信用がついてくる。そこで、われわれ町工場の経営者が普通、付き合えないような大手材料問屋「白銅」の当時の係長が「細貝さんはやる気もあるし、このままつぶしちゃうのはかわいそうだから仕入れさせてあげるよ」って言ってくれた。これをきっかけに、「白銅」さんと取引しているならと、いろいろな大手企業が付き合ってくれるようになり、人脈が広がった。当時の係長は、私が成長する原点をつくってくれた人。二十数年たった今も野球好きの私の誕生日に、名前の刺繍(ししゅう)が入ったグラブをプレゼントしてくれる。

 〈大手企業30社と直接、取引できるようになり、30歳で自宅と本社工場を建設。会社の年商は今、10億円に上るという〉

 困ったときにいろいろな人に助けられてここまできた。私も50歳になり、2代目、3代目の若い30、40代の町工場の社長を助けることで、時代のバトンを渡していかないといけないと思っている。だから、東京都大田区のものづくりをPRする「下町ボブスレー」の活動に参加することを決めた。(聞き手 植木裕香子)

会員限定記事会員サービス詳細