【上海=河崎真澄】AIIBは年内にも、香港の正式加盟を承認する方針だ。国際金融筋によると、AIIBの金立群総裁が香港の金融関係者との会合で、「非主権国としての申請なら(加盟は)問題ない」と述べ、台湾と明確に差をつけた。国際金融機関の体裁を取るAIIBが中国共産党政権の政治的な主張をくむ形で運営されることが改めて浮き彫りになった。
それぞれ独自の関税区域をもち、世界貿易機関(WTO)にも正式加盟している香港と台湾だが、中国側の独断で今年1月に確定した創設メンバーからは外され、国際金融機関の中立性や透明性に疑問符が付いていた。金氏は「香港の国際金融センター機能はAIIBの資金調達にも有効」として、債券発行などで香港市場の活用も示唆した。
AIIB設立を実務的に主導してきた中国財政省は1月、創設メンバーを欧州やアジア周辺国など57カ国と発表。同月の設立総会で初代総裁に選出された中国の元財政次官、金氏は3月、さらに30カ国がAIIBへの加盟を求めていると述べた。AIIBは6月に設立後初の年次総会を開催し、メンバー国の拡大や具体的なインフラ融資案件などを討議する。日米は参加に慎重な姿勢だ。