話の肖像画

下町ボブスレー推進委員会・細貝淳一(1) いつか五輪に…町工場の夢が実現

 その後、25年3月に開催されたアメリカズカップで、男子ボブスレー界で活躍する選手に乗ってもらったら、7位入賞した。だが、ソチ五輪を目指し、協力協定を結んだ連盟は11月、下町ボブスレーのそりを採用しないと告げ、男子チームはラトビア製のそりで出場した。

 「次の平昌こそは」と思い、27年11月13日に行われた採用テストで、ドイツ製のそりと競ったら、下町ボブスレーのそりが最高速度で勝った。連盟は最初の通知で、一発で採用が決まると言っていたが、テストは14日も行われた。結局、下町ボブスレーのそりは不採用となった。目の前が真っ暗になった。

 〈それでも、下町ボブスレーのそりを五輪で走らせるという夢を捨てなかった〉

 13日のテストで、世界が認めるドイツ製のそりとの勝負で手応えを感じているときに、五輪でそりを走らせる夢をあきらめられるわけがない。納得できる理由もなく否定されると反発したくなるのは、自分の生い立ちが関係しているのかもしれない。(聞き手 植木裕香子)

【プロフィル】細貝淳一 ほそがい・じゅんいち 昭和41年2月17日、東京都大田区生まれ。定時制高校に通いながら何十ものアルバイトを転々とした後、金属材料販売会社を経て、平成4年にアルミ加工などを手がける「マテリアル」を設立、社長に就任。衛星機器やカメラ機器、防衛機器などを製造する。24年に氷上のF1と呼ばれる競技「ボブスレー」で使う国産そりを、大田区の町工場が中心となって開発する「下町ボブスレーネットワークプロジェクト推進委員会」初代委員長に就任。現在、推進委のゼネラルマネジャーを務める。

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