浪速風

広告マンが考案した伝言カード

阪神大震災では各地の避難所の入り口に、赤い縁取りをした貼り紙がずらりと並んだ。「私はここにいます」「We are Here」と書かれ、その下が伝言欄になっていた。貼り紙によって離ればなれになった家族と再会できたり、友人、知人の安否を確認した人も多い。

▶博報堂関西支社長代理だった岩崎富士男さんらのアイデアだった。惨状を目の当たりにして「広告会社として何ができるか」を考え、「我々はコミュニケーションの専門家」と伝言カードを思いついた。「とにかく見てもらう」ために目立つ赤枠にして約60万枚を被災地の市役所や避難所に持ち込んだ。

▶「会社のPRに利用したくない」と名乗らなかったが、13年後に日本災害情報学会の会報で明らかにされた。岩崎さんの訃報で震災当時を思い出した。新聞も配達できず、被災者が必要とする情報をまとめて避難所で配った。伝言カードも瓦版のような新聞も、どちらもメディアの原点である。