都市を生きる建築(59)

100年続くモダンな個性…大江ビルヂング

【都市を生きる建築(59)】100年続くモダンな個性…大江ビルヂング
【都市を生きる建築(59)】100年続くモダンな個性…大江ビルヂング
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 西天満と法曹界の関わりは、1890(明治23)年に、堂島川沿いに建設された赤煉瓦(れんが)3階建ての大阪控訴院にさかのぼる。同じ場所に今は大阪高等・地方・簡易裁判所合同庁舎が建ち、周辺には法律事務所が多い。

 大江ビルヂングも、そんな波及効果の一つだ。弁護士の需要を見込んで、1921(大正10)年に完成した。

 四つ角に面した正面部分に、まずインパクトがある。入り口を強調するかのように、周囲は異なる石材で四角く縁取られている。

定規で引いたような直線が目立つが、ここぞという所に加えた曲線も印象的だ。一つは正面の入り口庇。カーブを描いた形も素材も、石張りの壁とは異なっていて後付けにも思えるが、これも完成当時からのもの。壁とをつなぐ部材には、優美な曲線が見て取れる。

 もう一つ、この時代の建築でもあまり目にしないのが、卵のように角を丸めた入り口両脇の装飾。上からの重みを支持する気負いはなく、コロンとしてかわいらしい。

 外観デザインから感じられるのは、各部がしっかりと組み合わさった厳格さではなく、シンプルで個性的な形それぞれが浮遊したような軽快さ。正面の上部も同じで、通常なら三角形であるペディメントの上辺を少し持ち上げて、浮いた屋根のように見せている。その下のタイルで張り分けた外壁の模様にも、大正時代らしい自由な雰囲気が漂う。