防衛最前線(64)

北の空を守るスカイシューター 陸自の87式自走高射機関砲には「ハエたたき」の異名も…

【防衛最前線(64)】北の空を守るスカイシューター 陸自の87式自走高射機関砲には「ハエたたき」の異名も…
【防衛最前線(64)】北の空を守るスカイシューター 陸自の87式自走高射機関砲には「ハエたたき」の異名も…
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 東西冷戦時、日本の安全保障上の最大の脅威は中国でも北朝鮮でもなく、ソ連だった。本土防衛の最前線は北海道で、ソ連の上陸をいかに防ぐかが日本の装備政策の核心だった。陸上自衛隊の「87式自走高射機関砲」も、北海道沿岸部に近づく敵の戦闘ヘリコプターや航空機の侵攻を想定して導入された。

 局地防空用の自走型近距離対空火器で、陸自第7師団(千歳)と第2師団(旭川)に配備されている。通称「スカイシューター」。部隊では「ガンタンク」や「ハエたたき」、「87AW」とも呼ばれる。90式戦車や、「ライトタイガー」の異名をとる89式装甲戦闘車と作戦行動を共にし、部隊の対空援護火器としての役割を担う。

 74式戦車をベースとした車体の上に、スイスのエリコン社製の35ミリ高射機関砲を2門備える。砲塔上部には皿状の追尾レーダーと、棒状の索敵レーダーを搭載。デジタル・コンピューターと連動し、目標の発見・捕捉・発射までの過程をリアルタイムで計算。動揺修正も自動的に行う。

 敵機の撃墜はもちろん、高い連射機能を生かして弾幕を張り、敵を近づけないという戦略も可能だ。2門の機関砲を水平にすれば、地上の目標も攻撃できる。

 全長7・99メートル、全幅3・18メートル、全高4・4メートル、重量38トン。最高速度は時速53キロで、乗員は3人。当時の西ドイツ陸軍の「ゲパルト自走対空砲」を参考に、昭和57年度から開発に着手し、61年度に完成。62年度から調達が始まった。平成6年度までに約50両が導入されている。

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