開発ヒストリー

収穫量が最大1・5倍 しかもうまい 豊田通商の多収穫米「しきゆたか」は農家のハートをつかめるか?

 しかし、農家にとって新品種のメリットは増収だけではない。じかまきにも適しているため、育苗の一手間を省け、他のコメと収穫時期をずらすことができる。

 参加農家は口コミで徐々に増え、新品種に適した栽培の仕方もわかってきたため、26年産米の収穫量は25年産米の3倍以上の700トンにまで増加。市場で販売を始めた27年産は東北から九州までの計24県で約1600トンまで増えた。

 豊田通商は32年に2万トンの収穫を目指しており、将来的には多収穫米の輸出も視野に入れている。

 挑戦好きの農家は総じてITにも関心が高い。自動車の生産管理手法「カイゼン」をベースにトヨタ自動車が開発した農業経営ITシステム「豊作計画」を導入して、コスト削減を図る農家もいる。豊田通商は今後、こうしたIT導入のメニューもそろえ、農家の効率経営を支援したい考えだ。

 日本のコメ農家を取り巻く環境は依然厳しい。食の多様化で、26年度の1人当たりの年間コメ消費量は55キロと、ピークだった昭和37年度(118キログラム)の半分以下だ。

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