経済インサイド

富士フイルムがキヤノンにぶち切れた! 東芝メディカル争奪戦でトリッキー手法 財界パワーバランスにも微妙な影…

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 争奪戦は富士フイルムが優勢との見方もあったが、東芝は3月9日の取締役会で、キヤノンへの独占交渉権付与を決める。8日夜には、傘下の証券会社とともに富士フイルムを推していた大手銀行幹部が、前日までとは打って変わって不機嫌な様子で帰宅している。この頃、それまでの情勢を覆すキヤノンの強烈な巻き返しがあったようだ。

 御手洗氏が社長時代に、西室泰三・前日本郵政社長が社長を務めていた東芝と共同で次世代テレビ「SED」を開発(後に商品化は断念)するなど、これまでの両社の深い関係が影響したとの見方もある。しかし、東芝幹部は「(不正会計の影響で)増資もできない中、キャッシュを得られる手段は限られていた。もう少し余裕があれば変わっていたかもしれないが、追い詰められていた」と振り返る。やはりキヤノンが提示した金額が最も高かったことが最後の決め手になったとみられる。

 キヤノンは最終合意を受け「当社が持つビジネスやパートナーシップを活用することで、さらなる飛躍をしていく」と、東芝メディカル買収を契機に医療機器事業を拡大させると強調した。一方で今回、巨額の買収資金を使わずに済んだ富士フイルムは、他のM&A(企業の合併・買収)戦略で医療事業を強化する可能性が高い。成長分野をめぐる新しい戦いは、すでに始まっているといえそうだ。(高橋寛次)

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