経済インサイド

富士フイルムがキヤノンにぶち切れた! 東芝メディカル争奪戦でトリッキー手法 財界パワーバランスにも微妙な影…

 少子高齢化で需要増が見込める医療機器事業の将来性は有望だ。そんな中、世界市場で高いシェアを持つ東芝メディカルが売りに出され、争奪戦となった。1次入札は、キヤノン▽富士フイルム▽米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)と三井物産の連合▽英ファンドのペルミラとコニカミノルタの連合-の4陣営が通過した。

 2次入札では、投資余力が大きく、医療事業の拡大意欲が強いキヤノンと富士フイルムを軸に選定が進んだ。支援する会社が買収に成功すれば高額の手数料収入を得られる金融機関も巻き込んで、熾烈な駆け引きが展開されたもようだ。

 キヤノンは、経団連会長も務めた御手洗冨士夫会長兼CEO(最高経営責任者)、富士フイルムは、安倍晋三首相とも近い古森重隆会長兼CEOと、両社ともにトップは経済界に影響力を持つ大物だ。今回の争奪戦で遺恨が残るようだと、財界のパワーバランスに微妙な影を落とすとの見方もある。そもそも歴史をたどると、キヤノンはカメラ、富士フイルムは写真フィルムと持ちつ持たれつの関係にあったはず。デジタルカメラの普及で写真フィルム需要が激減し、かつての共存関係が崩れたことも、対立の構図が鮮明になった要因の一つともささやかれている。

会員限定記事会員サービス詳細