経済インサイド

富士フイルムがキヤノンにぶち切れた! 東芝メディカル争奪戦でトリッキー手法 財界パワーバランスにも微妙な影…

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 富士フイルムが、この手法に敏感に反応したのには理由がある。東芝はキヤノンに独占交渉権を与えると発表した際、「企業価値評価額、手続きの確実性等の観点から総合的に評価した結果」としていた。富士フイルムが選ばれなかった要因の一つに、デジタルX線画像診断システムなどの医療機器を手がける同社は、独禁法の審査にキヤノンより時間がかかるという見方があったのだ。

 しかし、富士フイルムは、普通のやり方では両社ともに3月末までに間に合わないと指摘。コメントで「時間稼ぎを狙った極めてトリッキーなやり方との印象を受ける。もし、このようなことが認められるならば、競争法が極めて形骸化するのではないかと懸念する」と、不快感を表した。

 東芝は財務面を野村証券、法律面を西村あさひ法律事務所と、それぞれの分野の最大手から助言を受けている。キヤノン側のアドバイザーとともに精査しており、手続き上、問題ないと判断した。東芝は税引き前損益ベースで約5900億円の売却益を計上する方向で調整しており、最終赤字額は大幅に減少する見通し。

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