ただ、同国内には良質なシナリオとなる原作が少なく、海外から小説や漫画のリメーク権を買い取ることでコンテンツ不足を補っているのが現状だ。講談社の海外版権担当者は「昨年の夏頃から、日本の小説や漫画を原作に映画を作りたいという申し入れが増えている」と明かす。
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中国ではハリウッド映画の人気が高いが、中国政府は一方で、海外映画の上映数に上限を設けるなどして、映像文化の国産化を図っている。さらに厳しいのは、漫画の出版だ。中国の出版検閲により、日本の漫画が正規で新たに出版されるのは年間1、2タイトルとされる。また、唯一、日本のコンテンツをそのまま配信できる正規のルートだったインターネットによる動画配信も、2014年9月以降、突然規制され、『進撃の巨人』や『寄生獣』、『黒執事』など、性的、暴力的と判断された30以上の人気アニメが閲覧できなくなった。
コンテンツの国際商取引に詳しい遠藤誠弁護士は「中国は海外からの文化流入を規制しているが、ローカライズされた完成品は中国産となり政治の影響は受けにくくなる。しかし、映像作品の人気が出ればグッズやゲーム化などの派生も考えられ、日本側は原作の契約料を得るだけでいいのかよく考える必要がある」と指摘する。