主張

おおさか維新が憲法改正原案をまとめたことは評価できるが、国民守るテーマを避けるべきではない

 憲法9条の改正と緊急事態条項の創設は、国民の生命を守る上で喫緊の課題である。

 だが、その実現は自民党や安倍晋三首相が正面から訴えていかなければ到底おぼつかないことが改めて分かった。

 憲法改正の推進を標榜する「おおさか維新の会(以下維新)」がまとめた「憲法改正原案」を見ての率直な感想である。

 維新が主要政党の中で、自民党に次いで条文化した改憲案をまとめたことは評価できる。

 民進党は民主党時代から一向に改憲案を示そうとしない。これに比べれば、維新が夏の参院選で憲法改正発議に必要な3分の2以上の改憲勢力に加わることを打ち出したのは分かりやすい。

 維新は改正原案で、道州制や就学前から大学までの学校教育無償化、憲法裁判所の創設を打ち出した。だが、9条と緊急事態条項の問題に踏み込まなかった。「国民にはいろいろな意見があり、国論を二分しそうなので慎重に扱う」といった理由は、いかにも人任せに聞こえ、改正への真剣さを疑いたくなる。

 政党とは、国民のために必要と信ずる政策、方針を広く強く訴えて支持を集め、実現するための集団であるはずだ。

 現憲法の大きな欠陥は、自衛権や自衛隊についても記述がなく、専守防衛などの過度な制約を生じさせ、日本の安全保障を損なってきたことである。

 緊急事態条項もない。政府は首都直下地震や、西日本を中心に広範囲な被災が予想される南海トラフの巨大地震に備えている。大阪の副首都化を求め、危機管理をアピールする維新が、これに不可欠で有効活用できる緊急事態条項を敬遠するのは矛盾している。

 自民党は、党憲法改正草案で平和主義を継承するとともに、自衛権を明記し、国防軍を保持するとしている。

 日本の独立と平和、国民の命と暮らしを守る上で、この改正草案の方向性は妥当だ。

 安倍首相は3月28日の参院予算委員会で、9条の改正について、「説明には相当な時間がかかる」と述べた。

 国民の理解に時間を要することが課題であるからこそ、首相と自民党は即時に国民や他党を説得する努力を始めるべきだ。有事も災害も時を待ってはくれない。

会員限定記事会員サービス詳細