微に入り細に入り

ユスリカのアレルギーに注意!

ハエ目のユスリカ
ハエ目のユスリカ

 日ごとに陽光がまぶしく、春らしい季節になってきました。暖かくなるにつれて越冬から目覚めた昆虫たちの活動が活発になります。今頃から夏にかけて川や用水路、排水溝の周辺で小さな昆虫がたくさん群飛している様子を目にすることがあります。この小さな昆虫はハエ目のユスリカである可能性が高いです。

 ユスリカの群飛に遭遇すると、顔などにまとわりついてきて不快ですね。群飛は、古くから蚊柱と呼ばれ、数百匹から数千の雄だけの群れでできています。単独で生活する雌は、繁殖期になると雄の集団である蚊柱に飛び込んで一番お気に入りの雄を見つけて交尾し、川面などで産卵します。

 ユスリカは漢字で「揺蚊」と書きますが、これは幼虫が水底で泥から半分体を出してユラユラ揺れている姿に由来します。幼虫は、釣りをする人ならば餌としてなじみのあるアカムシとも呼ばれる細長い虫です。幼虫時に蓄えた栄養のみで生活し、成虫の寿命は1日から数日ほど。成虫は蚊と似ていますが、口や消化器が退化しているため蚊のように吸血しないばかりか一切、餌を取りません。

 一般的に「小バエの大発生」と聞くと、汚水や生ごみが発生源であることが多いのですが、ユスリカは必ずしも汚水から発生しているわけではありません。国内には2千種類以上のユスリカがおり、種類によってよどんだ湖やきれいな川、海などさまざまな水域に生息しています。このため、生息するユスリカの種類を調べることで、その水域の汚染度が分かる環境指標生物と言えます。

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