福島第1原発

凍土遮水壁 前例のない日本最大の土壌凍結は技術的な課題多く、汚染水低減の効果は疑問符つく

 国と東京電力が福島第1原発の汚染水対策の「抜本策」に位置付け、巨額の国費を投入した凍土遮水壁が31日、ようやく動き出した。案が持ち上がってから2年10カ月。原子力規制委員会は慎重に議論を重ねてきたが、段階的な凍結で汚染水漏洩(ろうえい)のリスクは回避できると判断した。ただ、前例のない日本最大の土壌凍結は技術的な課題も多く、汚染水低減の効果には疑問符がついたままだ。

 凍土壁の工法が持ち上がったのは平成25年5月。ゼネコンからアイデアを募ったところ、政府は鹿島建設が提案した案が適切と判断した。同年9月に国費345億円を使うことを決定し、26年3月に東電が規制委に実施計画を申請した。コンクリートの壁による遮水方式とは違い、凍土方式のメリットは施工が容易で、冷却に必要な電源を失っても数カ月は溶けずに残ることだ。

 ところが、規制委は当初から「安全性に問題がある」と計画に難色を示した。地下水位と建屋内の水位が逆転して汚染水が漏れ出す危険性がある上、建屋周辺の工事は放射線量が高く、作業員の被曝リスクも大きい。規制委は「投資に見合う効果があるのか」(更田豊志委員長代理)と疑問視し、審査が長期化した。

会員限定記事会員サービス詳細