法務省は30日、人種差別的な言動を街頭で行うヘイトスピーチ(憎悪表現)について初の実態調査結果を公表した。ヘイトスピーチを行っているとされる団体などが平成24年4月~27年9月に行ったデモや街宣活動などを1152件確認。ほとんどが領土問題や拉致問題への抗議などを名目に参加者を募っているものの、特定の民族の排斥などを訴える発言が多くなされているという。
インターネットで公開された対象団体の活動情報などをもとに調査し、72件(約98時間)の動画も分析。25年は347件、26年は378件、27年は1~9月で190件だった。
同省によると、京都朝鮮学園が「在日特権を許さない市民の会」(在特会)に損害賠償などを求めた訴訟の2審で、賠償などを認めた判決が出た26年以降、対象団体の直接的な活動は減少傾向。参加者に過激な発言を控えるよう呼びかけているケースもあるという。ただ、同省は「全てを把握することは難しく、沈静化とは言えない。一部の団体や関係者の差別意識は根深い」とみている。
問題をめぐっては、民主(現・民進)、社民両党などが「人種差別撤廃施策推進法案」を国会に提出し、参院法務委員会で審議されている。さらに自民、公明両党は対案として関連法案を今国会に提出する方針だ。