浪速風

隣は何を…に無関心になった

16年前、新潟県で小学4年の時に行方不明になった少女が9年2カ月にわたって監禁される事件があった。人里離れた山奥でも、無人島でもないのに、なぜこれほど長く、誰にも気づかれなかったのだろうか-と書いたが、同じ思いがする。埼玉県朝霞市の中学3年の女子生徒が約2年ぶりに保護された。

▶寺内樺風(かぶ)容疑者の動機など詳細はわからない。女子生徒が助けを求めたり、逃げ出せなかったのは、おそらく恐怖感に支配されていたのだろう。それより不審を感じなかった周囲の無関心に驚く。いつからだろう、他人のあれこれに首を突っ込むおせっかいがいなくなり、見て見ぬふりが多くなった。

▶個人情報やプライバシーが声高に叫ばれ、警察が地域の実情を把握しようにも、巡回連絡カードへの記入を拒まれるという。助け合い、支え合う「向こう三軒両隣」も消えた。結果、隣で何が起きているのかもわからなくなった。事件は日本社会の変質を象徴している。