外務省は25日、日本の広報戦略の拠点として平成29年度に海外3都市に設置する「ジャパン・ハウス」の事業概要を発表した。「世界を豊かにする日本」の発信拠点として位置づけ、文化、食、先端技術、地方など多様な魅力を紹介するとともに、さまざまな分野の専門家が海外発信する際の足がかりとなる機能を持たせる。
設置されるのはロサンゼルス、ロンドン、サンパウロ。中心地にある既存施設を改装し、日本の魅力や才能の展示やワークショップ、物販、レストランなどを展開する。また、3都市を巡回する展覧会を年3回開く。費用はジャパン・ハウスが負担する。
ジャパン・ハウスをめぐっては、中韓による歴史戦に対抗するため、日本の「正しい姿」や魅力を含む「戦略的対外発信」の必要性が高まったことが誕生の背景にある。しかし、事業概念に歴史認識や領土問題を発信する機能は明示されていない。外務省の川村泰久外務報道官は25日の会見で「相手方、発信する内容、課題に十分配慮して最も適切な形で発信を続けていきたい」と説明し、歴史認識の発信などに活用することには慎重な見方を示した。
政府関係者によると、外務省が慎重なのは、韓国が海外に設置した施設の展示で竹島問題を集中的に取り上げたところ来場者が途絶えた例もあるためとしている。外務省幹部は「日本の魅力を伝えることで本当の日本ファンを増やしたい」と強調している。