英国人日本を語る

「どうしてそんなに辛抱強いのですか?」 気鋭のジャーナリストがこの国のナゼに迫る「新『ニッポン社会』入門」

 《日本で経験した最も強烈なカルチャーショックのいくつかは、労働時間についての話》とした上で、コリンさんはこう書く。

 《日本に住みはじめた最初の年に、勤務先の社長のアシスタント兼秘書になるという『名誉』を手にした若い男性と知り合った。しかし彼の婚約者は、ほとんど彼と会えなくなったために婚約を解消した。どうやら男性は、仕事から帰るのがいつも真夜中で、週末にも会社に行くことが多いようだった》

 日本のサラリーマンの残業は日常の光景だ。「婚約解消」は極端な事例と思うので、辛抱強い日本人の異質さを、この1エピソードで裏付けることは強引だと感じる読者もいるだろう。

 そこで、コリンさんはこうも書く。

 《国民の祝日をいちばん近い月曜日に動かして週末を三連休にするという案について国民的な議論が巻き起こった。ぼくは議論が起こること自体、信じられなかった。休みをきちんととることに反対すべき理由が、いったいどこにあるというのだろう。それでもぼくは、地方のあるサラリーマンがその案に反対だと言ったのを覚えている。『(略)三日も休むと仕事の勘が鈍ります』》

 休みは増えても、仕事の量が減るわけではない。当時、「逆に日々の仕事がきつくなる」と考えた人は少なくないだろう。

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