巨編に挑む

韓非子 不器用なリアリストの魅力

岩波文庫版の金谷治訳注『韓非子』(全4冊)。企業経営者らにも人気があるという
岩波文庫版の金谷治訳注『韓非子』(全4冊)。企業経営者らにも人気があるという

 古代中国で花開いた、諸子百家と呼ばれる思想家たち。中でも厳格な法治を説いた法家の政治思想は異彩を放ち、その大成者・韓非(かんぴ)の著作として伝わるのが『韓非子』だ。日頃政治にうとい性質と自認している記者だが、世間を生きる上で政治からは逃れられない。しばしば西のマキャベリと並び称される中国政治思想の古典を手に取ってみた。(磨井慎吾)

 多数の抄訳版のほか、マンガ版まである『韓非子』。今回選んだのは全4冊の岩波文庫版(金谷治訳注)。原文、書き下し文に加え現代語訳があるため、通読に至便だ。

 内容について言えば、君主に政道を建言するという著述スタイルのため、具体例やたとえ話を巧みに示して説得する手法が多用され読みやすい。説話も豊富で、「矛盾」「逆鱗に触れる」など、現代日本でも使われる多くの故事成語の出典にもなっている。2千年以上前の本ということを少しも感じさせない迫力にぐいぐいと引き込まれるうち、約10日間で読了した。

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