政府が医療費抑制に向けて安価な後発医薬品(ジェネリック医薬品)のシェア拡大を目指す一方で、新薬(先発薬)メーカーは厳しい経営環境に置かれる。約2千億円を投資して米国進出に乗り出すなど、変革に取り組む田辺三菱製薬の三津家正之社長に今後の方針を聞いた。(阿部佐知子)
――海外事業に力を入れている
「(薬剤として承認例が少なかった)ALS(筋萎縮性側索硬化症)の治療薬を、2016年度中に米国で発売する見込みだ。(米国では)患者が2万人いるとされる神経変性疾患の難病。(2月に販売会社を設立した)米国で売り上げを拡大したい。現地企業のM&A(企業の合併・買収)も視野に入れている」
――ジェネリックの拡大で、他社に特許切れの薬の事業を切り離す動きもある
「特許切れの薬の売り上げ減の影響はあるが、患者へのフォローをしっかりと続ける社会的責任があると考えており、自社で販売する考えに変わりはない」
――ジェネリック事業への取り組みは
「ジェネリック販売は子会社で展開しているが、低価格だけの競争は目指さない。特徴を打ち出すほか、チェーン薬局との協業などで付加価値をつける。特許が切れる前に、特許の使用権を与えてジェネリックとして発売することでシェアを確保する『オーソライズドジェネリック(AG)』には参入したい」