文化庁の京都移転が正式決定した22日、京都市役所(京都市中京区)と京都タワー(同市下京区)、東寺(同市南区)の3カ所が文化庁のシンボルカラーの「朱色」にライトアップされるなど、地元は一気に歓迎ムードに包まれた。
京都に住んで約10年になるという京都市中京区の無職、今沢孝喜さん(65)は「移転するかもしれないというのはニュースで知っていたが、非常にいいことだと思う」と笑顔。
同区内で約30年にわたり喫茶店を営む、河村達也さん(57)も「文化庁の職員などが店を利用してくれて、売り上げも伸びればいい」と経済効果にも期待を寄せていた。
この日は、誘致関係者でつくる「文化庁京都誘致協議会」の会合も京都市内で開催。出席者からは「職員を温かく迎える態勢づくり」などを求める声もあがっていた。
会合のなかで、3年前まで文化庁長官を務めていた近藤誠一・京都市芸術文化協会理事長は「東京は政治・経済で精いっぱいで、文化への配慮がおろそかになっている。京都には歴史や文化があり、暮らすだけで重要性を感じることができる」と指摘。山折哲雄・国際日本文化研究センター名誉教授は「京都を軸に国の文化を考える機運が出てきた」と語った。会合では今後、自治体など関係機関でつくる準備組織を設置することも確認された。
誘致運動をめぐっては、熱意をアピールしようと、「(地元が)移転費用の一部を負担する用意がある」と訴えてきた経緯もあり、今後は、負担の程度なども検討課題になりそうだ。
京都府の山田啓二知事は会合後の会見で、「(文化庁移転は)京都全体に大きな効果がある。応分負担はある意味当然だ」と言及し、理解を求めた。