矢板明夫のチャイナ監視台

全人代は中国共産党のゴム印にすぎない 第1回大会から連続出席の87歳老女は「生きた化石」と絶賛され…

7日、北京の人民大会堂で、内外メディアに公開された全人代香港代表団の分科会。代表たちの発言は、党と中央政府の礼讃ばかりが目立った(西見由章撮影)
7日、北京の人民大会堂で、内外メディアに公開された全人代香港代表団の分科会。代表たちの発言は、党と中央政府の礼讃ばかりが目立った(西見由章撮影)

 5日から北京で開幕した全国人民代表大会(全人代=国会に相当)は、中国憲法上の最高の権力機関である。しかし、実際は共産党の指導下にあり、党中央の決定事項を承認することが仕事といわれている。判を押すだけという意味で党のゴム印鑑と揶揄(やゆ)されることもある。習近平政権発足後、党への権力集中はさらに強められた。党への忠誠を誓う代表が目立ち、今年の中国メディアの報道ぶりなどからも、全人代の影響力がますます低下しているといえる。

政府報告絶賛の香港代表

 7日午後にメディアに公開された香港代表団の分科会では、李克強首相(60)が大会に提出した政府活動報告について議論された。「すばらしい内容だ」「希望がわいてきた」といった報告を絶賛する趣旨の発言が相次いだ。

 香港では、昨年末から今年初めにかけて、共産党批判などの書物を取り扱う銅鑼湾書店の関係者5人が失踪し、中国の治安当局者に拉致された疑惑が浮上した。香港市民や民主派らによる中国当局への抗議デモが頻繁に発生したにもかかわらず、香港選出の代表らは全人代でこうした問題を全く取り上げなかった。共産党と中央政府の対香港政策を褒めたたえる意見が多かった。

 分科会を取材した香港人記者は「彼らはほとんど中央政府からの指名で代表になっている。香港の既得権益者がほとんどだ。彼らの意見は香港の民意と大きく乖離(かいり)している」と指摘した。

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