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子供の医療費は、就学前が2割負担、入学後は3割負担で全国一律。だが、少子化対策のため窓口負担を無料にする自治体が増えている。厚生労働省は医療費が膨張するとして、こうした自治体に国民健康保険の公費負担を減額するペナルティーを科しているが、自治体の反発は強く、見直しを含む検討が行われている。子供医療費の無料化の是非を、「知ろう小児医療守ろう子ども達の会」代表の阿真京子さんと、「日本医療政策機構」理事の小野崎耕平さんに聞いた。
「『全国一律』が望ましい」 阿真京子氏
--子供の医療費を無料化する自治体が増えている
「国の制度では、75歳以上の高齢者の医療費は1割。それに比べ、子供の負担割合は2割と高く、『子供たちを守ろう』という国の姿勢が見えにくい。自治体が助成を行い、医療費を無料にする動きは、大変ありがたい」
--現状は、自治体によって医療費が無料になる年齢が異なる
「助成対象が3歳まで、小学生まで、中学生まで、と自治体ごとにバラバラだ。北海道南富良野町のように22歳まで無料の自治体もある。子供の命の重さは同じなのに、医療費負担に地域差があるのはおかしい。医療費がかかることを心配して受診をためらい、命が危うくなることがあってはならない。国が『未就学児は無料』とするなど、窓口負担は全国一律が望ましい」
--国は、自己負担を軽減した自治体に対し国民健康保険の国庫補助を減額するペナルティーを科している
「国庫補助を減額すると、その分、自治体の負担はかさむ。お金のない自治体はますます無料化ができなくなる。自治体間の格差が一層広がるので、ペナルティーには反対だ」